彼女は霧深いサンフランシスコの波止場から姿を消し、杳として行方が知れなかった。
彼女の父から娘の調査を依頼されたアーチャーのこころには、何故かフィービの美しく暗い翳が重くのしかかっていた……。
アメリカ家庭の悲劇を描くハードボイルド派巨匠の最高傑作!
米ハードボイルド界を代表するロス・マクの「さむけ」と並ぶ代表作。
話はある家から失踪した娘の跡をアーチャーが追うという典型的なハードボイルド風なのだが、「さむけ」と同様、作者はある趣向を用意している。
追跡するアーチャーが娘の痕跡を辿るうち、暗い翳を感じるのだが、これが上記の趣向にも繋がるし、本作のテーマである家族の問題にも繋がる。
まず一番に挙げたいのが人物描写の素晴らしさです。
適格で簡潔明瞭な描写によって、登場人物が活き活きしています。
特に失踪した母娘が、どれほど似ていたかが会話によって明かされて行く場面は、圧巻です。
欲に負けてしまう人間の弱さ、哀しみ。
状況を改善しようとした行動が蹉跌となる絶望、無力感。
愚かで無力で、小さく哀しく、孤独で弱い人間たちのドラマです。
一流の娯楽作品であり、それ以上の物が確かにあります。
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