2010年12月29日

★2009年「このミステリーがすごい」第3位:『完全恋愛』牧 薩次(著)

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2009年「このミステリーがすごい」第3位


他者にその存在さえ知られない罪を完全犯罪と呼ぶ。

では、他者にその存在さえ知られない恋は完全恋愛と呼ばれるべきか?

推理作家協会賞受賞の「トリックの名手」T・Mがあえて別名義で書き下した究極の恋愛小説+本格ミステリ1000枚。


舞台は第二次大戦の末期、昭和20年。福島の温泉地で幕が開く。

主人公は東京から疎開してきた中学二年の少年・本庄究(のちに日本を代表する画家となる)。

この村で第一の殺人が起こる(被害者は駐留軍のアメリカ兵)。

凶器が消えるという不可能犯罪。

そして第二章は、昭和43年。

福島の山村にあるはずのナイフが時空を超えて沖縄・西表島にいる女性の胸に突き刺さる、という大トリックが現実となる。

そして第三章。

ここでは東京にいるはずの犯人が同時に福島にも出現する、という究極のアリバイ工作。

平成19年、最後に名探偵が登場する。

全ての謎を結ぶのは究が生涯愛し続けた「小仏朋音」という女性だった。



東京大空襲で家族を失って、親類を頼ってある温泉旅館に疎開した少年。

そこの離れの店子としてやってきた画家とその美しい娘…彼女が、少年の初恋となる。

そしてある夜、初恋の女性のために彼はある犯罪に加担する。

彼女を守るためならなんでもする…その決意が、彼の運命を変えた。

誰にもばれない「完全犯罪」のように誰にも知られることのない「完全恋愛」を貫けたのは誰か? 

ミステリーであり、少年が画家になって成長する男の人生ものとしてもなかなか面白い。

最後のドンデン返しは清々しくもあるが切ない。



恋愛ミステリというものを読んだことがなかったので興味津々だった。

読後の感想としては「面白かった」に尽きる。

久しぶりに快作と出会いました。

ミステリの醍醐味が「気持ち良く騙されること」であるとすると、恋愛小説は「その想いにどこまで共感できるか」 だと思うので、そのどちらともを堪能できました。

恋愛と犯罪の、見事な融合でした。


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★2009年「このミステリーがすごい」第2位:『ジョーカー・ゲーム』柳 広司(著)

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2009年「このミステリーがすごい」第2位。

「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門で第3位。

2009年度「第30回吉川英治文学新人賞」、「第62回日本推理作家協会賞・長編及び連作短編集部門」をダブル受賞。

本書で柳広司は大ブレイクした。




結城中佐の発案で陸軍内に設立されたスパイ養成学校“D機関”。

「スパイとは“見えない存在”であること」「殺人及び自死は最悪の選択肢」。

これが、結城が訓練生に叩き込んだ戒律だった。

軍隊組織の信条を真っ向から否定する“D機関”の存在は、当然、猛反発を招いた。

だが、頭脳明晰、実行力でも群を抜く「魔王」―結城中佐は、魔術師の如き手さばきで諜報戦の成果を挙げ、陸軍内の敵をも出し抜いてゆく。

東京、横浜、上海、ロンドンで繰り広げられる最高にスタイリッシュなスパイ・ミステリー。



全5編の連作小説集。

D機関のボスたる結城中佐のキャラ立ちも含め、いずれの編も一気に読ませる。

とにかく面白い本を読みたいという方にはお薦めの一書。



『ジョーカー・ゲーム』・・・憲兵隊が暴けなかった親日派外国人のスパイ容疑を調査する。

『幽霊−ゴースト−』・・・横浜の英国総領事館公邸に出入りする機関卒業生による調査の顛末。

『ロビンソン』・・・ロンドンに潜入し、英国諜報機関に捕らえられた機関卒業生の脱出行。

『魔都』・・・上海に潜入し、当地の派遣憲兵隊大尉の真の姿を暴く。

『XX−ダブル・クロス−』・・・二重スパイの証拠固めの最中に起こった密室殺人の真相は。



本書においては、結城中佐という、きわめて個性的で強烈なキャラクターをもって、「死ぬな、殺すな」という戦時においては逆説的な“D機関”というスパイ機関そのものの存在をフィーチャーした、謎解きの興趣に満ちた、パンチとひねりの効いた、かつ贅肉をそぎ落とした文章で綴られ、ストレートに読みきれるハイレベルな短編の集合体にしたところが大きな特長であろう。


ハードでクールなスパイをよろしく!



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★2009年「このミステリーがすごい」第1位:『ゴールデン・スランバー』伊坂幸太郎(著)

伊坂幸太郎おすすめミステリー小説、お奨めの伊坂幸太郎のミステリー小説。伊坂幸太郎の名作ミステリーの面白い作品。

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2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞と山本周五郎賞を受賞した。

2009年「このミステリーがすごい」第1位。

週刊文春 ミステリーベスト10 ゴールデンスランバー 2位


映画

ゴールデンスランバー(2010年1月30日公開。監督:中村義洋、主演:堺雅人)



衆人環視の中、首相が爆殺された。

そして犯人は俺だと報道されている。

なぜだ? 

何が起こっているんだ? 

俺はやっていない――。

首相暗殺の濡れ衣をきせられ、巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。

暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。

行く手に見え隠れする謎の人物達。

運命の鍵を握る古い記憶の断片とビートルズのメロディ。

スリル炸裂超弩級エンタテインメント巨編。


とにかく、最後まで目の離せない展開にドキドキだ。

本作は、首相暗殺の濡れ衣を着せられた主人公の青柳さんが、巨大な陰謀から追われる逃亡サスペンス。


文庫版で約680ページの大長編。

第一部が「事件の始まり」、第二部が「事件の視聴者」、第三部が「事件から二十年後」、第四部が「事件」、第五部が「事件から三ヶ月後」という構成になっている。

本編というかメインは、第四部なのですが、その前3編で、事件を異なる視点で読者に見せます。

ケネディ暗殺事件に多少でも関心がある人には、ものすごく引き込まれるものがある。

国やマスコミから「与えられる」情報がどういうものなのか、怖いくらいの描写。

それにしても、物語の見せ方がうまいと思う。


単に作品のストーリーを追うだけではなく、ミステリーという枠にとらわれず、ケネディの事件と伊坂作品の「魔王」「モダンタイムス」とを思い浮かべながら、著者のメッセージを考えるのも良いのでは。


とても深いな、と・・・・・・。



メインのストーリーは、首相爆殺の濡れ衣を着せられた男の逃亡劇である。

第一部「事件のはじまり」、第二部「事件の視聴者」を読んでいると、青柳雅春という奴は本当に犯人で、悪い奴だと思い込まされる。

これが実は普段われわれがマスコミを通して知る“事実”なのだ。

第三部の「事件から二十年後」というルポで「おや?」と思い始め、本書のメインである第四部「事件」に入り、リアルタイムで事件について語られ、青柳の逃亡劇を読み進むうち、彼の実像と“本当のこと”が分かる構成になっている。

とにかく、逃げる!逃げる!青柳、そして彼を直接的に間接的に助ける仲間たち。

とりわけページを割いて登場するかつての恋人樋口晴子の活躍は印象的だ。

そして、伏線と過去のカットバックが効果的に取り入れられていたり、人を喰ったような意外性もあったりして、行間からは“伊坂エッセンス”が溢れている。

本書は、「伊坂小説の集大成」と呼ぶにふさわしい大作で、伊坂ファンもそうでない人も、きっと時を忘れて読み進んでしまう、そんなリーダビリティーを持った一冊である。

極上のサスペンスで、ジャンルを超えた名作、傑作エンタテインメント、ミステリー小説。




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★おすすめ名作ミステリー小説:お薦め傑作ミステリー小説『オーデュボンの祈り』伊坂幸太郎(著) 

伊坂幸太郎おすすめミステリー小説、お奨めの伊坂幸太郎のミステリー小説。伊坂幸太郎の名作ミステリーの面白い作品。

おすすめミステリー作家のオススメ面白いミステリー、おもしろい傑作お勧めミステリー小説は『オーデュボンの祈り』伊坂幸太郎(著))だ。


2000年『オーデュボンの祈り』で、新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、デビュー。


既存のミステリーの枠にとらわれない大胆な発想で、読者を魅了する伊坂幸太郎のデビュー作。

レイプという過酷な運命を背負う青年の姿を爽やかに描いた『重力ピエロ』や、特殊能力を持つ4人組の強盗団が活躍する『陽気なギャングが地球を回す』など、特異なキャラクターと奇想天外なストーリーを持ち味にしている著者であるが、その才能の原点ともいえるのが本書だ。

事件の被害者は、なんと、人語を操るカカシなのである。


コンビニ強盗に失敗した伊藤は、警察に追われる途中で意識を失い、見知らぬ島で目を覚ます。

仙台沖に浮かぶその島は150年もの間、外部との交流を持たない孤島だという。

そこで人間たちに崇拝されているのは、言葉を話し、未来を予知するというカカシ「優午」だった。

しかしある夜、何者かによって優午が「殺害」される。

なぜカカシは、自分の死を予測できなかったのか。

「オーデュボンの話を聞きなさい」という優午からの最後のメッセージを手掛かりに、伊藤は、その死の真相に迫っていく。


嘘つきの画家、体重300キロのウサギさん、島の規律として殺人を繰り返す男「桜」。

不可思議な登場人物たちの住む島は、不条理に満ちた異様な世界だ。

一方、そんな虚構に比するように、現実世界のまがまがしい存在感を放つのが、伊藤の行方を執拗に追う警察官、城山である。

本書が、荒唐無稽な絵空事に陥らないのは、こうした虚構と現実とが絶妙なバランスを保持し、せめぎあっているからだ。

本格ミステリーの仕掛けもふんだんに盛り込みながら、時に、善悪とは何かという命題をも忍ばせる著者の実力は、ミステリーの果てしない可能性を押し開くものである。



伊坂幸太郎さんのデビュー作。

現実と非現実のどちらとも言えない設定に戸惑いましたが、 最後まで読むと良い作品だなと思いました。

どういう終わり方なのか、気になりながら読みましたが、読み終わってみるといい読後感。

伏線の張り方、回収が緻密で、ラストも良かったです。

その後の作品と比べると、疾走感というか一気に読ませる惹き付ける感じが少ないようなので、伊坂作品を初めて読むなら、この作品じゃない方がいいかもしれません。

この作品をいいなと思った方には、他の作品も躊躇なくお勧めしたいです。


独特な余韻を強く残した、不思議なミステリーだ。


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ラベル:伊坂幸太郎
posted by ホーライ at 05:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月28日

★おすすめ名作ミステリー小説:お薦め傑作ミステリー小説『重力ピエロ』伊坂幸太郎(著)

伊坂幸太郎おすすめミステリー小説、お奨めの伊坂幸太郎のミステリー小説。伊坂幸太郎の名作ミステリーの面白い作品。

面白いミステリー、おもしろい傑作お勧めミステリー小説は『重力ピエロ』伊坂幸太郎(著)だ。


2004年「このミステリーがすごい」第3位。

「重力ピエロ」の映画化(2009年5月23日公開(宮城県は4月25日先行公開)。監督:森淳一、主演:加瀬亮)


半分しか血のつながりがない「私」と、弟の「春」。

春は、私の母親がレイプされたときに身ごもった子である。

ある日、出生前診断などの遺伝子技術を扱う私の勤め先が、何者かに放火される。

町のあちこちに描かれた落書き消しを専門に請け負っている春は、現場近くに、スプレーによるグラフィティーアートが残されていることに気づく。

連続放火事件と謎の落書き、レイプという憎むべき犯罪を肯定しなければ、自分が存在しない、という矛盾を抱えた春の危うさは、やがて交錯し…。


著者は、新潮ミステリー倶楽部賞受賞作『オーデュボンの祈り』で言葉を話すカカシを登場させ、『陽気なギャングが地球を回す』では、特殊能力を持ったギャング団一味を軽妙なタッチで描いてみせた伊坂幸太郎。

奇想天外なキャラクターを、巧みなストーリーテリングで破綻なく引っ張っていく手法は、著者の得意とするところである。

本書もまた、春という魅力的な人物を縦横に活躍させながら、既存のミステリーの枠にとらわれない、不思議な余韻を残す作品となっている。


伊坂流「罪と罰」ともいえる本書は、背後に重いテーマをはらみながらも、一貫して前向きで、明るい。

そこには、空中ブランコを飛ぶピエロが、一瞬だけ重力を忘れることができるように、いかに困難なことであっても必ず飛び越えることができる、という著者の信念が感じられる。

とくに、癌(がん)に冒されながらも、最後まで春を我が子として支援する父親の存在が、力強い。

春が選んだ結末には賛否両論があるに違いないが、「本当に深刻なことは陽気に伝えるべきなんだよ」と春に語らせた著者のもくろみが成功していることは、すがすがしい読後感が証明している。



久々に日本の現代小説を読みました。楽しませてもらいました。
 
欠点とも取れる特徴のある小説であるため、自分には合わないと感じる方もいるかもしれません。

 
ミステリーというには謎が入り組んでおらず、文芸というには軽い。

家族小説というには現実味が薄い。

特に私が気になったのは、春や母親を初めとする登場人物が「いかにも作った」印象を与えてしまうことや、その登場人物たちがとる行動の中に非現実的な点があることなどの、「現実味の薄さ」です。

非常に良く出来た小説ではその非現実性も作品の魅力となるものですが、残念ながらこの作品ではそこまで到達していないように思えます。

「この小説はちょっと…」という方にとっては、この「現実味の薄さ」と知識を羅列した「饒舌さ」が相俟って拒否反応を引き起こすのでしょう。

 
しかしこの作品にはそれらを補って余りある爽快な美しさがあります。

この小説の良さを一言で言うなら、「重いテーマを軽いタッチで描いてみせる美しさ」です。

 
猿人・原人とホモ・サピエンス、レイプという犯罪の本質、親殺し・子殺し、芸術とは、少年犯罪と法律、などと表面に見えるテーマは様々ですが、それらを語る語り口はいずれも軽快です。

テーマの「重さ」と文体の「軽さ」。

これらの「重力」を操り、爽快な美しさを現前させること。

これが作者の目指したことなのではないでしょうか。



本屋で、タイトルに惹かれて手に取りました。

そして、一気に読み終えました。

遺伝子などの専門的な話も、登場人物が会話の中で詳しく説明しているため、それほど困ることなく読み進めることができました。


この作品の魅力。

その1つは、登場人物がとても魅力的だということ。

とくに、主人公の両親と探偵には、惚れ惚れします。

そして、言葉の魅力が絶大で。

はっ、とさせられる言葉がたくさん溢れています。


話自体も、意外性はとくになかったものの、面白かったと思います。

でも、最後には、これで良かったのか?と、

登場人物だけでなく、読者も考えたくなるのではないでしょうか。


重力。

でもそれは、消えたり消したりできるものではなくて、忘れさせることはできる、そういうことなんじゃないかな。

それが私の中での、正解のない答えです。



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ラベル:伊坂幸太郎
posted by ホーライ at 23:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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