2009年01月25日

おすすめファンタジー「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」村上 春樹 (著)

高い壁に囲まれ、外界との接触がまるでない街で、そこに住む一角獣たちの頭骨から夢を読んで暮らす〈僕〉の物語、〔世界の終り〕。
老科学者により意識の核に或る思考回路を組み込まれた〈私〉が、その回路に隠された秘密を巡って活躍する〔ハードボイルド・ワンダーランド〕。

静寂な幻想世界と波瀾万丈の冒険活劇の二つの物語が同時進行して織りなす、村上春樹の不思議の国。

作品冒頭、巨大なエレベーターでポケットのコインを数える印象的なシーン。
そして、金色の一角獣、ピンクの太った娘、老博士、夢読み、影、やみくろ、歌の消失した世界……
作家の豊かな想像力を見せつける数々のキーワード。

2つの話が並行的に語られるが、あまり気にせず本の順序通りに読み進めると、不思議なシンクロ感が味わえる。
意表をつく結末も、読む者におおきな宿題を投げつけられたようで、私自身未だ折に触れて読み返してしまう要因かもしれない。


「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」という作品は2つの世界が交互に現れる。
ハードボイルド・ワンダーランドでは時間が加速したり減速したりひっきりなしに事件が起きて「私」はいきつくことがない。
それに対し世界の終わりではゆったりとした時間が流れる、そして「僕」は光を失い「影」と別れる。

生命の繰り返しがつづき人は記憶を失う。
つまり、世界が「終わる」とは時間・空間の均質化なのである。

世界自体は続くのではあるがそれは、「終わる」ということに等しいのだろう。

ところで、私たちは今科学が発達したいわゆる文明社会というものに生きているが、このような均質化が身近なところに潜んではいないだろうか?

タレントがはしゃぐだけのテレビ番組、いつ動作しても同じ結果しか出ないコンピューターハードボイルド・ワンダーランドで技術の発達が世界の終わりの危機をもたらしたように現代の科学技術も世界を終わらせうるものではないのだろうか?


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posted by ホーライ at 05:56| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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