宮部みゆきのおすすめミステリー小説。おすすめ宮部みゆきのおすすめ傑作ミステリー小説。
2001年「模倣犯」で毎日出版文化賞、02年第6回司馬遼太郎賞、第52回芸術選奨文部科学大臣賞文学部門
墨田区・大川公園で若い女性の右腕とハンドバッグが発見された。
やがてバッグの持主は、三ヵ月前に失踪した古川鞠子と判明するが、「犯人」は「右腕は鞠子のものじゃない」という電話をテレビ局にかけたうえ、鞠子の祖父・有馬義男にも接触をはかった。
ほどなく鞠子は白骨死体となって見つかった―。
未曾有の連続誘拐殺人事件を重層的に描いた現代ミステリの金字塔、いよいよ開幕。
久し振りに再読した。
あらためて感じたのは、著者の丁寧さと読者に対する誠実さだ。
その場面にしか登場しないような人物にもストーリーを持たせ、本筋のストーリーに厚みを持たせるという手法を、「ムダに長い」と感じる人もいるはずだが、私はこれが作者の作品の魅力であるととともに、丁寧さと読者に対する誠実さだと思っている。
そして、長篇であってもリーダビリティが高いのは、ストーリーテラーとしての実力もあるが、もうひとつ忘れていけないのは作者の文章だ。
難しい単語が使われることはなく、すっと文意が理解できる。
だが、無機質な文章ではない。登場人物のセリフもふくめて体温を感じる文章だ。
彼女の作品ではどんなに残酷な世界が描かれていても、何かしら救いの部分がある。
10年以上前の作品なので、設定などの部分で古さはあったが、小説としての輝きは失われていなかった。
やはり、日本を代表する小説家の一人だと思う。
本書を読むと、こわくなる。
自分だけは、我が家だけはひととは違う。
そう思って皆生きている。殺される瞬間まで。
被害者側もなにか普通とは違うところがあったのだ、だから私達とは別世界の問題、私達は安心、と思いたいのだ。
…そう言われたように感じたから。
「火車」の本間刑事的人物は登場せず、淡々と歩みを緩めずに非情な凶行が続いていく。
本間刑事は犯人の背景を描き出しつつ本人に迫っていく軌跡を描きましたが、ここで犯人に迫る役割を得たライターは自らも物語の波に押し流され、浮き沈みしつつ終幕へ向けて動いていきます。
神の救いの手は存在せず、もがき苦しみ、それでも営々と生活を続けなければならない人々がいる。
そして、それは特別なことではない。
そんな読後感でした。
エンタテイメントを超えて、宮部さんが犯罪小説をかく意味を聞いた気がするから。
自らの役目を全うしようと仕事に取り組む宮部みゆきの気迫のようなものを感じる作品でした。
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