2010年12月19日

★おすすめのミステリー小説「マリアビートル」伊坂 幸太郎 (著)

●このミステリーがすごい(2010年)
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第6位「マリアビートル」伊坂 幸太郎 (著)


元殺し屋の「木村」は、幼い息子に重傷を負わせた相手に復讐するため、東京発盛岡行きの東北新幹線“はやて”に乗り込む。

狡猾な中学生「王子」。

腕利きの二人組「蜜柑」&「檸檬」。

ツキのない殺し屋「七尾」。

彼らもそれぞれの思惑のもとに同じ新幹線に乗り込み―物騒な奴らが再びやって来た。

『グラスホッパー』に続く、殺し屋たちの狂想曲。3年ぶりの書き下ろし長編。


仙台に社用で3日間行ってきた。

列車移動の為、道中東北新幹線を利用する事になり、往復の車中で読書をもと思い、丁度東北新幹線を舞台に繰り広げられる伊坂幸太郎のピカレスクな新作をチョイスした。

確かに、「はやて」は全席指定席、車両間には荷物置き場がある、ダストボックスの壁にも突起があるし、等々、妙にライヴ感ある感覚に囚われながらも、登場人物たちのキャラと話の面白さに、いつしかそんな事を気にする間もなく読み耽った。

電車に乗り合わせた者たちが遭遇するサスペンスって、このジャンルの常套だと思うけど、今作が面白いのは、ドラマが、一般乗客なしで、徹頭徹尾海千山千の個性的な殺し屋たちに、狡猾かつ残忍な少年の間で続けられる処だ。


そして、そのスリリングな展開もさることながら、まず以て魅力的なのは、彼らの会話の絶妙さだ。

蜜柑と檸檬、王子と木村、七尾と真莉亜。

3組の物騒な人間たちが交わす言葉のひとつひとつが、深刻かつ複雑な状況であるにも拘わらず、ある時は軽妙、ある時はシニカルに、まるで掛け合い漫才の如き応酬で楽しめる。

中でも、蜜柑と檸檬の関係は最高にオカシい。

ふたりともやたら好きな小説やアニメの一節の引用をするのだが、なんせ、方や「悪霊」、方や「機関車トーマス」だもん、話は噛み合わないよな(笑)。

「トーマス」の話に関連させて考えを語る檸檬のみならず、人の心理を操り、精神的に優位に立って大人を手玉に取る嫌味な14才、まるで映画「ダークナイト」のジョーカーを彷彿させるような悪意の塊の王子や、己のツキのなさを嘆きながらも、窮地の際の頭脳と身体の切れ味が凄まじくなるてんとう虫・七尾など、強烈としか言いようのないユニークで個性的なキャラの立つ事、立つ事(笑)。


バッド・タイミングが重なり、絶体絶命の場での、彼らのプロフェッショナルとしての死力を賭けた闘い。

終盤に従って、心理戦とアクションの波状攻撃を堪能しつつ、ラストの収め方の鮮やかさに唸らされる。

今作の前篇「グラスホッパー」を読んでなくても十分に楽しめる作品、岡本喜八が生きていたら是非とも彼に映画化して欲しかった。

逸品、面白さ保障します。



読み終えた時「伊坂幸太郎を読んだ〜」という充実感で満たされました。

「グラスホッパー」の続編ですが、もしグラスホッパーの直後に書かれていたのであれば違う雰囲気だったと思います。

最近の伊坂作品を経過したからこそ、この作品にたどり着いたんだ…と感じました。

伏線のはり方に唸り、殺し屋達の攻防にワクワクし、登場人物の魅力に夢中になる…

伊坂幸太郎のエンターテイメント性を存分に味わえる会心作です!



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2009年02月15日

おすすめハードボイルド『ウィチャリー家の女』ロス・マクドナルド (著)

女の名はフィービ・ウィチャリー。二十一歳。
彼女は霧深いサンフランシスコの波止場から姿を消し、杳として行方が知れなかった。
彼女の父から娘の調査を依頼されたアーチャーのこころには、何故かフィービの美しく暗い翳が重くのしかかっていた……。

アメリカ家庭の悲劇を描くハードボイルド派巨匠の最高傑作!

米ハードボイルド界を代表するロス・マクの「さむけ」と並ぶ代表作。

話はある家から失踪した娘の跡をアーチャーが追うという典型的なハードボイルド風なのだが、「さむけ」と同様、作者はある趣向を用意している。
追跡するアーチャーが娘の痕跡を辿るうち、暗い翳を感じるのだが、これが上記の趣向にも繋がるし、本作のテーマである家族の問題にも繋がる。


まず一番に挙げたいのが人物描写の素晴らしさです。
適格で簡潔明瞭な描写によって、登場人物が活き活きしています。
特に失踪した母娘が、どれほど似ていたかが会話によって明かされて行く場面は、圧巻です。

欲に負けてしまう人間の弱さ、哀しみ。
状況を改善しようとした行動が蹉跌となる絶望、無力感。
愚かで無力で、小さく哀しく、孤独で弱い人間たちのドラマです。

一流の娯楽作品であり、それ以上の物が確かにあります。


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2009年02月14日

おすすめハードボイルド『さむけ』ロス・マクドナルド (著)

本書は素晴らしい。

ロス・マクは米ハードボイルド界を代表する作家である。
本作も新婚早々の妻が失踪するところから始まり、典型的なハードボイルドの展開を見せる。
読者もそのつもりで読んで行くと、最後に本格の趣向が待っているという凝りに凝った構成の作品である。


かつて、こんなに本格に近づいたハードボイルドがあっただろうか。

いや驚きはそれだけではない。
本書の扱っているテーマには人間の弱さを見せつけられてしまった。
親と子の悲劇。次々とあらわれる登場人物たちの内面には、悲劇がすみついているのだ。
これほど大胆に展開する人間のエゴをぼくは知らない。

本書の真相は戦慄そのものである。
構成の巧みさと、意外性のあるストーリー展開がほんとうに素晴らしかった。

ラストには、心底ぞおーっとして、戦慄させられました。
ラストはまさに“さむけ”です。


ハードボイルドか本格推理か、などと言うジャンルを超えて、「ミステリ」カテゴリーの中での最高傑作が本作だと思う。
人物描写のすさまじさ、ミスディレクションの自然さ、ストーリー展開の吸引力、ラストのインパクトの凄さ。

超一級品。


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2009年02月11日

おすすめ青春ハードボイルド『サウスポー・キラー』水原 秀策 (著)

第3回(2005年)「このミステリーがすごい!」大賞

人気球団オリオールズの投手・沢村。
ある日、沢村の「暴力団との癒着」と「八百長試合」を指摘した告発文書が球団とマスコミに送りつけられ、身に覚えがないにもかかわらず、沢村は自宅謹慎処分を受けてしまう。
自身の潔白を証明するため、告発文書の調査を開始する沢村。
やがて彼がたどり着いたのは周到に計画された恐ろしい陰謀だった!

第3回『このミス』大賞を受賞した正統派ハードボイルド。


久しぶりに面白く読むことができた推理小説でし
推理小説なので中身に入って話ができないのが残念ですが、登場人物は、主人公も相手役の女性も魅力的でした。

自分のことや人の気持ちをきめ細かく理解できる知的レベルの高い人物像に仕上がっていて、共感がもてます。

気持ちがほっこりしました。
犯人も魅力的です。

登場人物、それぞれに生きていることがわかって、著者の暖かい気持ちを感じ取ることができました。


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サウスポー・キラー (宝島社文庫)





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2009年02月10日

爽快!おすすめハードボイルド「ワイルド・ソウル」垣根 涼介 (著)

2004年(第6回)大藪春彦賞 

一九六一年、衛藤一家は希望を胸にアマゾンへ渡った。
しかし、彼らがその大地に降り立った時、夢にまで見た楽園はどこにもなかった。

戦後最大級の愚政“棄民政策”。

その四十数年後、三人の男が東京にいた。
衛藤の息子ケイ、松尾、山本―彼らの周到な計画は、テレビ局記者の貴子をも巻き込み、歴史の闇に葬られた過去の扉をこじ開けようとする。
 

04年本作で大薮春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞



大藪春彦賞、吉川英治文学賞、日本推理作家協会賞をトリプル受賞した作品ということでかなり期待値が高かったのだが、その期待をさらに上回る出来で、次のページをめくるワクワク感を与えてくれる本に久しぶりに出会った。

自分の不勉強で知らなかったのだが、戦後のブラジルへの移住政策というのが日本政府の完全な失策であり、著者は、この移住者の多くにかなり過酷な結果をもたらした事実を現地まで赴いて克明に取材し、かなりのリアリティをもって書き起こしている。
実際の過去の出来事の上に、悲劇の日系ブラジル人たちを主人公に据え、おもに日本とブラジルの両国を舞台にフィクションを重ねて描くスタイルで、そのスケールとリアリティと展開の速さには圧倒させられた。

ハードボイルド系を好む男性にも女性にもお薦めの1冊である。


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ワイルド・ソウル〈上〉 (幻冬舎文庫)






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