2010年12月29日

★2009年「このミステリーがすごい」第4位:『告白』湊 かなえ(著)

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2008年度の週刊文春ミステリーベスト10で第1位に、このミステリーがすごい!で第4位にランクイン、2009年に本屋大賞を受賞した。

第一章「聖職者」が小説推理新人賞を受賞した、作者のデビュー作。

2010年6月5日には映画が公開された。その公開前に映画の脚本を元に漫画化されたコミック版が発売されている。



我が子を校内で亡くした女性教師が、終業式のHRで犯人である少年を指し示す。

ひとつの事件をモノローグ形式で「級友」「犯人」「犯人の家族」から、それぞれ語らせ真相に迫る。

選考委員全員を唸らせた新人離れした圧倒的な筆力と、伏線が鏤められた緻密な構成力は、デビュー作とは思えぬ完成度である。




もしくは、誰にでも潜む闇と言ったら、陳腐に聞こえるかなと思いつつ、まず浮かんだ言葉です。

そして、悪は生まれ、育つモノなのだと、この小説を読んで思いました。

悪が生まれるキッカケがあり、その悪を育てる環境がある。そのどちらもがなければ、悪は完成しない。

しかし、その悪を生むキッカケや、悪が育つ環境に悪意がある訳でもない。

また悪を闇に代えても成り立つ構図でもある。

今、正義というモノに関心が向いていますが、正義とは何か?を考える時、この小説を読んでみると、考えさせられます。

報復は正義か?

その報復が正義であると誰が定義するのか?


自己満足について。

いろんなことを思う本です。

そして、その色んなことをサクッと読める小説になっているのが、この本です。


あなたの闇もここにある。


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★2009年「このミステリーがすごい」第3位:『完全恋愛』牧 薩次(著)

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2009年「このミステリーがすごい」第3位


他者にその存在さえ知られない罪を完全犯罪と呼ぶ。

では、他者にその存在さえ知られない恋は完全恋愛と呼ばれるべきか?

推理作家協会賞受賞の「トリックの名手」T・Mがあえて別名義で書き下した究極の恋愛小説+本格ミステリ1000枚。


舞台は第二次大戦の末期、昭和20年。福島の温泉地で幕が開く。

主人公は東京から疎開してきた中学二年の少年・本庄究(のちに日本を代表する画家となる)。

この村で第一の殺人が起こる(被害者は駐留軍のアメリカ兵)。

凶器が消えるという不可能犯罪。

そして第二章は、昭和43年。

福島の山村にあるはずのナイフが時空を超えて沖縄・西表島にいる女性の胸に突き刺さる、という大トリックが現実となる。

そして第三章。

ここでは東京にいるはずの犯人が同時に福島にも出現する、という究極のアリバイ工作。

平成19年、最後に名探偵が登場する。

全ての謎を結ぶのは究が生涯愛し続けた「小仏朋音」という女性だった。



東京大空襲で家族を失って、親類を頼ってある温泉旅館に疎開した少年。

そこの離れの店子としてやってきた画家とその美しい娘…彼女が、少年の初恋となる。

そしてある夜、初恋の女性のために彼はある犯罪に加担する。

彼女を守るためならなんでもする…その決意が、彼の運命を変えた。

誰にもばれない「完全犯罪」のように誰にも知られることのない「完全恋愛」を貫けたのは誰か? 

ミステリーであり、少年が画家になって成長する男の人生ものとしてもなかなか面白い。

最後のドンデン返しは清々しくもあるが切ない。



恋愛ミステリというものを読んだことがなかったので興味津々だった。

読後の感想としては「面白かった」に尽きる。

久しぶりに快作と出会いました。

ミステリの醍醐味が「気持ち良く騙されること」であるとすると、恋愛小説は「その想いにどこまで共感できるか」 だと思うので、そのどちらともを堪能できました。

恋愛と犯罪の、見事な融合でした。


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★2009年「このミステリーがすごい」第2位:『ジョーカー・ゲーム』柳 広司(著)

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2009年「このミステリーがすごい」第2位。

「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門で第3位。

2009年度「第30回吉川英治文学新人賞」、「第62回日本推理作家協会賞・長編及び連作短編集部門」をダブル受賞。

本書で柳広司は大ブレイクした。




結城中佐の発案で陸軍内に設立されたスパイ養成学校“D機関”。

「スパイとは“見えない存在”であること」「殺人及び自死は最悪の選択肢」。

これが、結城が訓練生に叩き込んだ戒律だった。

軍隊組織の信条を真っ向から否定する“D機関”の存在は、当然、猛反発を招いた。

だが、頭脳明晰、実行力でも群を抜く「魔王」―結城中佐は、魔術師の如き手さばきで諜報戦の成果を挙げ、陸軍内の敵をも出し抜いてゆく。

東京、横浜、上海、ロンドンで繰り広げられる最高にスタイリッシュなスパイ・ミステリー。



全5編の連作小説集。

D機関のボスたる結城中佐のキャラ立ちも含め、いずれの編も一気に読ませる。

とにかく面白い本を読みたいという方にはお薦めの一書。



『ジョーカー・ゲーム』・・・憲兵隊が暴けなかった親日派外国人のスパイ容疑を調査する。

『幽霊−ゴースト−』・・・横浜の英国総領事館公邸に出入りする機関卒業生による調査の顛末。

『ロビンソン』・・・ロンドンに潜入し、英国諜報機関に捕らえられた機関卒業生の脱出行。

『魔都』・・・上海に潜入し、当地の派遣憲兵隊大尉の真の姿を暴く。

『XX−ダブル・クロス−』・・・二重スパイの証拠固めの最中に起こった密室殺人の真相は。



本書においては、結城中佐という、きわめて個性的で強烈なキャラクターをもって、「死ぬな、殺すな」という戦時においては逆説的な“D機関”というスパイ機関そのものの存在をフィーチャーした、謎解きの興趣に満ちた、パンチとひねりの効いた、かつ贅肉をそぎ落とした文章で綴られ、ストレートに読みきれるハイレベルな短編の集合体にしたところが大きな特長であろう。


ハードでクールなスパイをよろしく!



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★2009年「このミステリーがすごい」第1位:『ゴールデン・スランバー』伊坂幸太郎(著)

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2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞と山本周五郎賞を受賞した。

2009年「このミステリーがすごい」第1位。

週刊文春 ミステリーベスト10 ゴールデンスランバー 2位


映画

ゴールデンスランバー(2010年1月30日公開。監督:中村義洋、主演:堺雅人)



衆人環視の中、首相が爆殺された。

そして犯人は俺だと報道されている。

なぜだ? 

何が起こっているんだ? 

俺はやっていない――。

首相暗殺の濡れ衣をきせられ、巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。

暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。

行く手に見え隠れする謎の人物達。

運命の鍵を握る古い記憶の断片とビートルズのメロディ。

スリル炸裂超弩級エンタテインメント巨編。


とにかく、最後まで目の離せない展開にドキドキだ。

本作は、首相暗殺の濡れ衣を着せられた主人公の青柳さんが、巨大な陰謀から追われる逃亡サスペンス。


文庫版で約680ページの大長編。

第一部が「事件の始まり」、第二部が「事件の視聴者」、第三部が「事件から二十年後」、第四部が「事件」、第五部が「事件から三ヶ月後」という構成になっている。

本編というかメインは、第四部なのですが、その前3編で、事件を異なる視点で読者に見せます。

ケネディ暗殺事件に多少でも関心がある人には、ものすごく引き込まれるものがある。

国やマスコミから「与えられる」情報がどういうものなのか、怖いくらいの描写。

それにしても、物語の見せ方がうまいと思う。


単に作品のストーリーを追うだけではなく、ミステリーという枠にとらわれず、ケネディの事件と伊坂作品の「魔王」「モダンタイムス」とを思い浮かべながら、著者のメッセージを考えるのも良いのでは。


とても深いな、と・・・・・・。



メインのストーリーは、首相爆殺の濡れ衣を着せられた男の逃亡劇である。

第一部「事件のはじまり」、第二部「事件の視聴者」を読んでいると、青柳雅春という奴は本当に犯人で、悪い奴だと思い込まされる。

これが実は普段われわれがマスコミを通して知る“事実”なのだ。

第三部の「事件から二十年後」というルポで「おや?」と思い始め、本書のメインである第四部「事件」に入り、リアルタイムで事件について語られ、青柳の逃亡劇を読み進むうち、彼の実像と“本当のこと”が分かる構成になっている。

とにかく、逃げる!逃げる!青柳、そして彼を直接的に間接的に助ける仲間たち。

とりわけページを割いて登場するかつての恋人樋口晴子の活躍は印象的だ。

そして、伏線と過去のカットバックが効果的に取り入れられていたり、人を喰ったような意外性もあったりして、行間からは“伊坂エッセンス”が溢れている。

本書は、「伊坂小説の集大成」と呼ぶにふさわしい大作で、伊坂ファンもそうでない人も、きっと時を忘れて読み進んでしまう、そんなリーダビリティーを持った一冊である。

極上のサスペンスで、ジャンルを超えた名作、傑作エンタテインメント、ミステリー小説。




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posted by ホーライ at 08:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 2009年ベストミステリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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